
かつてカセットデッキやオープンリールデッキという録音機器には必ずといっていいほどVUメーターがついていた。
録音時にメーターが降り切れないようにボリューム設定をするだけでなく、適度にメーターの針が振れるように調整しながら録音していたのを思い出す。
最近の録音機器にはVUメーターではなくレベルメーターがついている。なぜそうなったのかはわからない。録音メディアがデジタル化され、機器そのものが小型になったことでVUメーターを実装するスペースがなくなったのかもしれない。その点レベルメーターは表示スペースが小さい。しかも瞬間的なレベルの変化が一瞬でわかる。
録音で最も大切なことは、ピークレベルを超えないようにすることだ。ピークレベルを超えると音が歪んでしまう。
小さな音は音量を上げれば会う程度大きくできるが、歪んだ音は音量を下げても歪んだままなので使い物にならない。そうしたミスを防ぐために録音機器にはレベルメーターは必須だ。
パソコンを録音機器として使う場合も音量調整は大切だ。マイクを含む外部音源をパソコンに取り込むためにオーディオインターフェースを使う。我が家はYAMAHAのMG12XUというミキサーをインターフェースとして使っている。このミキサーにレベルメーターがついているので、MG12XUのレベルメーターを見ながら適切に音量調節すればパソコンに送られた音の信号は問題なく録音される。
パソコンに録音したそれぞれの音をDAWソフトで編集して作品として完成させていく。その際にも各音源の音量調整が必要になるため、当然のことながらDAWソフトにもレベルメーターがついている。
たとえばナレーションとBGMをかぶせるミックス時には、音声レベルとBGMのレベルを個々のレベルメーターを見ながら調整していくのだが、これが結構難しい。全体の音のバランスがうまく整っていないと感じることが多い。
原因はレベルメーターでとらえきれない音のバランスがとれていないからではないかと考えた。
そこで思い出したのが、かつて録音時に使っていたVUメーターのことだ。
DAWのプラグインにもVUメーターはあるが、複数のプラグインと同時に使えないなど問題点もある。当然のことながらDAWを立ち上げていないと使えない。となると外付けのハードウェアとしてのVUメーターが欲しくなった。
ネットで調べるとオーディオ機器用アクセサリーとしてのVUメーターはあるが、録音などで使えるものはほとんどない。手に入りやすいDTM用のVUメーターはHAYAKUMOのFORENOくらいだ。評価もたかいがVUメーター単体としてはやや高価。77,000円もする。プラグインのVUメーターが3,000円程度だからちょっと手を出しづらい。
欲しいほしいと思いつづけて1年半。やっと踏ん切りがついて購入することにした。
さっそくミキサーのモニター端子にXRL端子でつなぎスイッチオン。テストジェネレーターで10KHzを出力し0VUになるよう調整し準備完了。
音楽を鳴らしてメーターの針が振れるのを見る。そうそうこれがVUメーターの良さ。音を目で見て感じることが出来る。久しぶりに感動した。やっぱり私は昭和生まれのアナログ派だ。
本体価格70,000円。残りの7,000円は消費税だ。しみじみと思うのだが、消費税って高すぎじゃない。